人類史に関する雑記

縫製を趣味とする友人が「かつて先祖だった原始人が、植物から板を加工して布を使ったり、百歩譲って鉱石から金属を加工するまではなんかわかるが、これ(運転中の彼の車窓に広がるバイパス沿いの街並みと街灯)がどのように原始時代から移り変わってきているのか俺には理解できない」とかなり根源的な問いを発した。
それに対する、メモ書きです。


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原始人の社会と現代の文明状態との隔離はどうやって起きたのか?
原始人の状態では全人口が食料の収集(狩りや木の実など食べ物集め)をしないと人口が維持できなかった。
一万年ほど前に氷河期が終わると、植物が育ちやすくなる。食べられる植物の種や苗を植えれば、自分の意思で食べ物が作れるようになった。川から用水を引けば大規模に植物が栽培できるから、原始人たちが自然と大きな川の周りに集まった。
用水の管理がみんなの命に関わるから、灌漑工事が盛んに行われた。恐らく灌漑工事のリーダーがコミュニティのリーダーになっていった。そういうコミュニティがたくさんできると、水や土地を巡って争うようになって、コミュニティ同士で戦争するようになる。あちこちで色々なコミュニティ同士で戦争して、弱いコミュニティを併合していって、大きな国が出来る。
大きな国になると経済が発展する。あと、国の中でのランクづけにしたかった身分も生まれる。経済力があるやつや、身分が高いやつは働かなくても食べていける。そういう中から学問をする連中が出てくる。そういう連中が自分の研究を文字で記録する。原始時代に文字はないけど文明時代には文字があるから、天才のひらめきも文字に残されて、別の人が参考にしたり別の天才がさらに改良したりして、技術や研究が相乗効果で社会に築成されていく。こうして出来たのが古代ギリシャやローマ、エジプトやメソポタミア、古代中国などの古典文明。
そうした研究の蓄積が古代以来数千年積み重ねられて来た。
18世紀に産業革命が起きた。これは自然科学の進歩から出たものだが、簡単に言えばこの時初めて人間がモーターを作って、モノづくりに革命を起こしたということ。
それまではあらゆる商品が手作りだったから、例えば靴下やハンカチですら単価が高かったが、モーターの発明で工場での大量生産が可能になる。貧乏人を安い賃金で大勢雇ってモーターをつけた機械で商品を大量生産させれば、沢山のものが早く出来て、おまけにハンドメイドより値段まで安くなる。
それまで理論だけあって実現できなかったものか作れるようになり、飛躍的にモノづくり力がアップした。
それまで自然エネルギーに頼っていた動力、物流、インフラが化石燃料を基にしたものに変わる。
物流が馬車や川船から、鉄道や自動車に変わった。行燈やランプから、油の管理がいらない電灯に変わった(古代中世にはガラスは高級品だから町中をガラスのランプで照らすことは、普通の街には無理だった)。
生活水準が向上し、労働が減った人間がますます増え、さらに多くの研究がされて、技術やインフラが進歩した。
20世紀には通信技術が飛躍的に伸びた。
電波で音を伝える技術ができて、国じゅうの人に指導者や俳優が語りかけ、それを国じゅうの人が聴けるようになった。
20世紀中盤には音と映像を伝える技術ができて、テレビで国じゅうの人が指導者や俳優を見ることができるようになった。
21世紀になると小さい機器で音と映像を送受信できる技術が出来て、世界中の人間が言葉や映像を不特定多数に送れるようになった。
現在は、相乗効果で、さらにすごいものが出てくる発展途上なんだと思う。
おわり